調理師の数が減ってきている!?|その理由と調理師になる方法をご紹介
調理師免許を所持しなくても調理場に立ちお客様に料理を提供することはできる日本は世界から見ても調理師の数は少ないと言ってもいいしょう。
加えてお店を開店する時にも調理師免許は必要ではありませんし、調理師を雇用する義務もありません。
しかし、今の日本の食の環境はというと、日々めまぐるしく変化しています。
例えば、食生活の乱れによる生活習慣病の急増、原材料表示義務による食の安心安全の不透明さ、日本の伝統的食文化の衰退など、取り上げたらきりがありません。
つまり、一人ひとりが食に対する意識が高くなっているにもかかわらず、調理師が普及しないのはなぜでしょうか。
今回はその理由を紐解いていきます。
調理師とは
調理師とは調理の仕事に従事する職人のことを言います。
しかし、調理場で働いている人すべてが調理師というわけではなく、調理師法という法律(昭和33年法律第147号)に、「調理師の名称を用いて調理の業務に従事することができる者として都道府県知事の免許を受けた者」が調理師です。
法律できちんと定められているということは社会的責任も大きい職業であると言っても過言ではありません。
その調理師が減ってきているということは何か原因なのでしょうか?
まずはどのくらい調理師が減ってきているのか見ていきましょう
減少傾向に⁉調理師の数
調理師とは調理師免許の所持者のことを指し、令和2年に新たに調理師免許を交付された人の数は28294人となっています。(厚生労働省ホームページより)
ただその数は年々低下しており、平成20年には約40000人と15年前と比べると約12000人減っています。
つまり、新しく調理師になる人が少なくなってきている証拠であります。
飲食店で働く従業員の数が約430万人なので、9人に1人の割合となっています。
1店舗の平均従業員数は5~6人なので、店によっては調理師がいないところがあっても不思議ではないでしょう。
なぜ調理師が減ってきているのか
調理師の社会的役割は今後ますます重要になっていくにもかかわらず、調理師の数が増えないのは何故でしょうか。
大きく以下の3つによるものが大きいと言われています。
・給料の低さ
調理師の年収は日本の他の職種の平均年収と比べても低いという結果が出ております。
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、10人以上の企業規模を対象にした調理師の平均年収は、2019年では約340万円でした。
さらに新人となると手取りで12万〜16万ほどで生活のことも考えると厳しいと言えます。
しかし、一流の調理師やオーナーになれば月給100万円以上も夢ではありません。
・勤務時間の長さ
営業時間とその前後の準備と片付けの時間を含めると一日12時間〜15時間は当たり前です。
そして立ち仕事がほとんどなので、かなりの体力が要求されるでしょう。
休暇も週一日または二日というところがほとんどで、労働時間もかなり厳しいのが現実です。
しかし、その分だけやりがいが出たり、成長できる環境とも言えます。
・調理師にならなくてもお客様に料理を提供できるということ
料理人になること自体に調理師免許は必須ではありません。
つまり、調理師免許はお客様に料理を提供する時にでも必要ではありません。
ではどういったところに調理師免許を取得する意味があるのでしょうか。
それは調理師免許とは、調理師として栄養面や衛生面において正確な知識と技術を持っている人であることを証明するためです。
無論、国家資格であり、調理師免許を持っていれば調理師と名乗れます。
調理師としてのやりがいはなに?
先ほど説明した通り、調理師の数は減ってきているのにも関わらず、調理師として活躍している人の原動力となっているものとは何でしょうか?
本校の卒業生でDesire(デリール)でオーナーシェフを務める光山シェフはお客様から美味しいと言っていただいた瞬間が一番やりがいを感じるとおっしゃっていました。
同じく卒業生でフリーランスパティシエとして活躍をされている魚住莉穂さんは、初めは喜んでくれる人も身近な人だけだとしても、思いを込めてお菓子を作り続けていると「ありがとう!」「楽しみにしてる!」といってもらえる事が増えていき「あなただからお願いする!」といってもらえたりする事がやりがいになっていますとおっしゃってくれています。
人それぞれでやりがいや魅力は様々ですが、食を通じて幸せを実感した瞬間にやりがいを感じたということは共通していると思います。
調理師が少なくなっている中で、仕事にやりがいを持って第一線で活躍をしている人がいるからこそ今でも調理師を目指そうと頑張っている人がいるのかもしれませんね。
では調理師になることでどのようなメリットがあるのでしょうか?
調理師免許のメリットとは
上記で調理師免許を持っていなくてもお客様に料理を提供することができるのであれば、調理師免許に果たしてメリットはあるのでしょうか?
結論から言うと、メリットはあります
ではどのようなメリットがあるのかを紹介していきます
調理師免許が必須の就職先がある
「【国家資格】調理師免許を紹介!取って損はありません!」の記事でも紹介しておりますが、調理師免許を持っていなければ働けない職場があります
例えば、高級料理店や国の公務を任せられている公邸料理人がそれにあたります。
それは調理師免許は食に関する知識と技術の証明となるため、日本料理や食文化を伝えるという意味においては欠かすことができないからです。
さらに応募が多い店舗だと、調理師免許を持っていないというだけでエントリーシートだけで落とされてしまう可能性も十分にあります。
食の分野は何か新しいことを始めるときにはピッタリ
調理師免許の取得を目指す人の中には特に就職を目指すわけではなくお料理教室といった副業を始めるためというケースもあります。
今ではSNSをはじめ、自分で情報を発信できるツールも充実していますので、何か新しいことを始めるときに調理師はピッタリです
そのため調理系の専門学校などは年齢層も幅広く、さまざまなバックグラウンドを持ったかたが入学をしています。
調理師になるための2つの方法
調理師になるためには調理免許を取得しなければなりません。みなさんは調理師免許を取得する方法が2種類あるのはご存知ですか?
2年以上の実務経験を経た後に試験に合格すること
調理師専門学校に進学し、調理師免許に必要な単位を取得し、卒業すること
上記のように調理師免許を取得する方法は2種類ありますが、一般的には進学を選ぶケースが多いといえます。
それは取得のために試験を受ける必要はないからというよりかは取得方法がそれしかないという認識であることが理由だと思われます。
ではいま2種類あると知ってもあなたは実務経験を経た後に試験に合格する道を選びますか?
答えはノーだと思います
なぜ調理師専門学校を卒業すれば無試験で調理師になることができるのか
結論から言うと、あくまで専門学校で正しい知識と技術を学んでいるという前提があるからです。
調理師免許を取得するための授業時間は960時間あり、そのうち570時間が座学の授業となっています
調理師専門学校では座学を通じて、調理理論や食品の衛生に関することなどを勉強します。
神戸国際調理製菓専門学校では学園として50年の歴史から時代にあったカリキュラムを構成しています。
2年間調理を勉強できる調理スペシャリスト本科や1年間調理を勉強できる調理師科では卒業と同時に調理師免許を取得できます。
調理師になるための試験は難しい?
7つの科目がある調理師試験の合格率は60%といわれています。
対策をしなければ合格することは難しいかもしれません。
一般的に難しいと言われている理由は主に3点あります
- 出題される問題は都道府県によって異なること
- 馴染みがない衛生学、栄養学などの科目がある
- 働きながらだと勉強できる時間が取れない
以上のことを知っていなければ半年から1年の対策が必要だといわれています。
対策として各都道府県が実写している過去問であったり問題集を解きまくるのがいいでしょう。
調理師の数自体が少なくなってきている世の中で、一人ひとりにかかる重圧は重くなってくるばかりです。
しかし、基本的に調理師は拘束時間の長く、朝早くの準備から始まり、夜遅くまで片付けや仕込みで働かなければいけません。
今後も勤務環境が劇的に変化することもないとされていますが、主婦や年配の方でも目指せる国家資格でもあります。
誰でも目指すことができて、世間から需要が変わらない調理師の仕事は今後も人気職業として君臨し続けるでしょう。